最近、日本でもMLBの試合中継や解説で「捕手がこんなに打てるのか!」と驚くシーンが増えてきました。筆者も約20年間NPB中心でしたが、「捕手なのにスター打者級」という異色の存在に注目するようになりました。その最たる例が、フィラデルフィア・フィリーズの正捕手、J.T.リアルミュート(J.T. Realmuto)です。
ドラフト評価:捕手+ユーティリティの期待
- 2010年ドラフト・第3巡目(全体84位)でマイアミ・マーリンズに指名
- 捕手としての堅実な守備、強肩、高いリード力が評価される一方、打撃面は平均的と評価されていました
- しかし高い野球IQと低身長ながらフレームに合ったスイングは、「捕手で即戦力」という期待を集めていました
マイナーからMLB昇格:成長期と飛躍期(2011~2018)
- 2014年5月、完全支配型補強のため、マーリンズでMLBデビュー
- 初打点は代打初打席で記録するなど、打撃面でのインパクトを発揮
- 2015~2017年には、打率.275前後・二桁本塁打を安定記録。盗塁阻止率も30%超と捕手として水準以上
- 2018年オールスター出場、シルバースラッガー賞(捕手部門)受賞で“攻守捕手”の名を不動のものにしました
フィリーズ時代:キャッチャーとしてチームの要を背負い、打撃でも爆発(2019〜現在)
- 2019年1月、フィリーズにトレード移籍。以降、正捕手としての地位を確立
- 2019年は.275・21本・73打点の攻撃成績に加え、チームの扇の要として投手陣をリード
- 2021年にはシルバースラッガー賞再受賞。打撃数字は.276・26本・83打点、盗塁阻止率も34%
- 2022年からはチーム主将格として精神面も牽引
- 2024年は捕手で初めてオールMLBファーストチームに選出されるなど、リーグを代表する位置へ
“リアル・ミュート”捕手としての価値とは?
- 打撃力:捕手ながら毎年20本前後の本塁打を記録。走塁も150安打+10盗塁級
- 守備力:塁間を抑える強肩。リードやインサイドワークも巧妙
- 投手との相性:相手球種を読んで配球を組み立てる高度な“キャッチャー頭脳”を持つ
- まさに「捕手」という枠を超えた“超万能ユーティリティ選手”
シーズンごとの成績(G/PA/H/AVG/HR/RBI/SB)
年 | 試合 | 打席 | 安打 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2014 | 45 | 145 | 32 | .227 | 5 | 22 | 1 |
2015 | 94 | 353 | 87 | .274 | 10 | 46 | 0 |
2016 | 113 | 459 | 115 | .285 | 11 | 52 | 1 |
2017 | 137 | 539 | 142 | .264 | 12 | 69 | 2 |
2018 | 136 | 514 | 142 | .275 | 17 | 64 | 1 |
2019 | 130 | 514 | 140 | .275 | 21 | 73 | 0 |
2021 | 142 | 595 | 164 | .276 | 26 | 83 | 1 |
2022 | 147 | 620 | 175 | .282 | 23 | 98 | 0 |
2023 | 146 | 610 | 166 | .272 | 18 | 76 | 1 |
2024 | 148 | 630 | 178 | .283 | 24 | 85 | 0 |
2025* | 82 | 340 | 98 | .288 | 13 | 48 | 1 |
*2025年は6月末時点の成績
まとめ:捕手という地位を超えた“全能捕手”
J.T.リアルミュートは、ドラフト時は「堅実な捕手」との評価に留まっていましたが、マイナー⇒MLBでの成長を通じて「打って守れる捕手」に進化しました。捕手として必要なすべてを高い水準でこなせる彼の存在は、まさにチームの心臓部とも言えるでしょう。
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今回は“リアルミュート”をご紹介しましたが、MLBにはまだまだ魅力的な選手がいます。気になる選手や視点があれば、コメントやSNSでお気軽に教えてください!次回も熱く深掘りしていきます。
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