最近、MLB(メジャーリーグベースボール)が日本のメディアでも頻繁に取り上げられるようになってきました。大谷翔平選手の活躍や、ヌートバー選手の人気もあり、NPB(日本プロ野球)ファンの中にも「ちょっとMLBも見てみようかな」と興味を持つ方が増えているのではないでしょうか。
かく言う筆者も、約20年間NPBを追いかけてきた野球ファンの一人です。しかし、いざMLBを楽しもうと思っても、「ルールや制度が違いすぎてよく分からない…」という壁にぶつかりました。今回紹介するのは「ドラフト制度」の違いです。
NPBとMLBでは、同じ“ドラフト”という言葉でも中身が全く異なります。本記事では、MLBとNPBのドラフト制度の違いをわかりやすく比較しつつ、MLBの魅力を深掘りしていきます。
NPBとMLBのドラフト制度の概要
NPBのドラフト制度とは?
NPBのドラフト制度は、1965年に導入されて以来、大きな変更を経ながらも「戦力の均衡」を目的に設計されています。
- 実施時期: 毎年10月頃
- 対象選手: 高校生・大学生・社会人
- 指名方式:
- 1巡目は入札制(複数球団の競合があれば抽選)
- 2巡目以降はウェーバー制(直近シーズンの下位チームから順に指名)
特徴的なのは、選手側がどの球団に入るかを選べないことです。これにより、どの球団にも均等にスター選手が入りやすい設計になっています。
MLBのドラフト制度とは?
一方、MLBでは「アマチュア・ドラフト(通称:MLB Draft)」が、1965年から実施されています。正式名称は「First-Year Player Draft」とも呼ばれます。
- 実施時期: 毎年7月
- 対象選手: 高校卒業後の選手、大学選手、ジュニアカレッジ選手など
- 指名方式:
- 完全ウェーバー制(前年度の成績が悪かった順に指名)
- 1巡目から最後までこの順序で進む
- トレード不可
また、MLBでは「指名順位によって契約金の上限が設定」されている「スロット制」が採用されています。各球団には「ボーナスプール」という予算枠があり、その範囲内で契約金を調整しなければなりません。
NPBとMLBドラフト制度の主な違いまとめ
項目 | NPB | MLB |
---|---|---|
実施時期 | 10月頃 | 7月 |
指名順 | 入札+ウェーバー制 | 完全ウェーバー制 |
選手の選択権 | なし(球団に選ばれる) | 交渉拒否・進学・再挑戦可能 |
契約金制度 | 上限あり(だが比較的緩い) | スロット制で上限明確 |
トレード可否 | 不可 | 不可 |
指名対象 | 国内アマチュア | アメリカ・カナダ・プエルトリコなどのアマチュア選手のみ |
NPBにはないMLBのユニークな制度
コンペンセーション・ピック
MLBでは、FA選手を流出した球団が「補償指名権(コンペンセーション・ピック)」を得る仕組みがあります。これにより、戦力流出のリスクを抑えつつ将来への補強が可能になります。
ドラフトロッタリー(2023年〜)
2023年からは、MLBでも「ドラフトロッタリー」が導入されました。成績最下位の球団が必ずしも1位指名とはならず、下位6球団で抽選を行い、1〜6位の指名権を決定します。これは“タンク(意図的な敗戦)”を防止する狙いがあります。
有名なドラフトの出来事
【MLB】2009年ドラフト:マイク・トラウトの“奇跡”
2009年のドラフトでは、29人の選手がトラウトより先に指名されました。当時の評価は高くなかったものの、エンゼルスが25位で指名し、結果として「21世紀最高の選手」と呼ばれるスター選手に育ちました。これにより、スカウティングの奥深さとドラフトの面白さが改めて注目されました。
【NPB】1990年ドラフト:野茂英雄の逆指名拒否
逆指名制度時代、近鉄バファローズが野茂英雄を1位指名。野茂はその後、メジャー挑戦を選び、日本人初のMLBスターとなりました。この出来事はNPBの制度を揺るがす大事件であり、後のFA制度やポスティング制度に大きな影響を与えました。
まとめ:ドラフト制度を知るとMLBがもっと面白くなる
NPBとMLBのドラフト制度は、「選手の人生の選択肢」や「球団の補強戦略」に大きな違いがあります。
MLBでは高校生が指名を拒否して大学に進学したり、ボーナスプール内で駆け引きが行われたりと、“制度を理解することで見えるドラマ”があります。NPBファンがMLBを楽しむには、この背景を知っておくことで、より深く試合や選手を追いかけられるようになります。
あなたの知りたいMLB制度は?
今回はドラフト制度に焦点を当てましたが、MLBとNPBでは他にもFA制度、マイナーリーグ制度、ロースター管理などさまざまな違いがあります。
「こんな制度の違いも知りたい!」「この選手はどんな経緯でMLBに行ったの?」など、気になることがあればぜひコメントで教えてください!
次回の記事作成の参考にさせていただきます!
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