最近、日本でもMLB(メジャーリーグベースボール)がテレビやSNS、ネットニュースなどで取り上げられる機会が増え、気づけばMLBに興味を持ち始めたという人も多いのではないでしょうか。かく言う筆者もその一人です。これまで約20年間、NPB(日本プロ野球)を追い続けてきましたが、MLBのスケール感やスター選手たちの活躍ぶりに惹かれ、今ではすっかりハマり始めています。
しかし、MLBとNPBでは文化やシステムが大きく異なるため、初めて観る人にとっては「どこから楽しめばいいの?」と戸惑うことも多いはずです。そんな中で筆者が感じたのは、「まずは選手一人ひとりのストーリーを知ること」こそが、MLBをより深く、より面白く観るための第一歩であるということ。
本記事では、そんなMLBの中でも圧倒的な実力と人気を兼ね備えたスーパースター、ムーキー・ベッツ(Mookie Betts)について、彼のドラフト時の評価から現在に至るまでの軌跡を辿り、どのようにして“今のムーキー”が出来上がったのかをご紹介します。
ムーキー・ベッツとは?
本名:マーカス・リン・“ムーキー”・ベッツ
生年月日:1992年10月7日
出身地:アメリカ・テネシー州ナッシュビル
ポジション:外野手(主にライト)/二塁手
所属:ロサンゼルス・ドジャース(2020〜現在)
主な受賞歴:MVP(2018年)、ゴールドグラブ賞(6回)、シルバースラッガー賞(5回)ほか
ムーキー・ベッツは、攻守走三拍子揃った万能型のスーパースター。MLBの中でもトップクラスの人気と実力を誇り、ファンだけでなく選手仲間や監督からの信頼も厚い存在です。
ドラフト時は無名だった?ムーキーの意外な評価
現在のベッツの活躍ぶりからは想像がつきませんが、実は彼はドラフト時にそれほど注目された存在ではありませんでした。2011年のMLBドラフトで、ベッツはボストン・レッドソックスから5巡目(全体172位)で指名されています。
彼は高校時代から打撃センスとスピードを兼ね備えた選手でしたが、体格が小柄(当時は170cm台前半)だったことや、守備位置が確定していなかったことから、スカウトの間では「良い選手だけど、即戦力にはなりづらい」との評価も多かったのです。
守備位置の転向と覚醒
ベッツのプロとしての成長が一気に加速したのは、二塁手から外野手に転向した2014年からです。
マイナーでは打撃面でもしっかりと数字を残しながら、守備の柔軟性を高く評価されたことにより、レッドソックスはベッツを外野手にコンバート。これが功を奏し、2014年にMLB初昇格を果たします。
昇格当初から打率3割近くを残し、走塁や守備でも随所に才能を発揮。2015年からはチームの中心選手として活躍を続け、ついには2018年にアメリカン・リーグMVPを獲得するまでに成長しました。
MVPシーズンと球界の顔に(2018年)
2018年のベッツは、まさにキャリアのピークともいえるシーズンを過ごしました。
- 打率.346(リーグ1位)
- 出塁率.438
- 長打率.640
- 32本塁打・30盗塁
- 守備でもゴールドグラブを受賞
この年、レッドソックスは球団記録の108勝を挙げてワールドシリーズを制覇。ベッツは攻守において完全無欠の存在となり、球界トップ選手の地位を確立します。
ドジャース移籍の背景にあった“球団の事情”
そんな絶対的存在であったベッツが、わずか2年後の2020年に電撃移籍した背景には、複雑な球団事情がありました。
契約延長交渉の難航
ベッツはFA(フリーエージェント)を翌年に控え、高額な長期契約を希望。報道では12年総額4億2000万ドルを要求していたとされます。レッドソックス側はこれに応じられず、契約交渉は平行線を辿っていました。
贅沢税(ラグジュアリー・タックス)回避の戦略
レッドソックスは当時すでに高額年俸選手が多く、MLBの贅沢税ラインを超えており、財務的に再編を迫られていました。年俸圧縮の一環として、ベッツのような高額契約が見込まれる選手は「見返りを得られるうちに放出する」方針が採られたのです。
トレード詳細と即決された延長契約
トレードの内容(2020年2月)
- ドジャース獲得:
- ムーキー・ベッツ
- デービッド・プライス(投手)
- レッドソックス獲得:
- アレックス・ベルドゥーゴ(外野手)
- ジェーター・ダウンズ(内野プロスペクト)
- コナー・ウォン(捕手)
ベッツは当初「1年限定のレンタル」と見られていましたが、移籍後すぐに12年3億6500万ドルという超大型契約を結び、ドジャースに骨を埋める覚悟を見せます。
新天地でも変わらぬ存在感
ドジャースでもベッツは中心選手として君臨し、2020年は短縮シーズンながら打率.292、16本塁打、10盗塁を記録。攻守にわたる活躍で、ドジャースのワールドシリーズ制覇を牽引しました。
さらに2023年にはキャリアハイの39本塁打を放つなど、依然としてリーグ屈指の選手として評価されています。
人柄とユーモアにもあふれたリーダー
ムーキー・ベッツは、成績だけでなく人間性でもファンを魅了しています。ホームレスに自ら食事を配ったエピソードや、若手選手への惜しみないサポート、さらにはプロ並みの腕前を持つボウリングプレイヤーとしての一面など、ピッチ外でも話題に事欠きません。
まとめ:ムーキー・ベッツはなぜ愛され続けるのか
無名のドラフト下位指名から、MVP、ワールドシリーズ、超大型契約とすべてを勝ち取ったムーキー・ベッツ。その背景には、地道な努力と誠実な姿勢、そして環境に適応する柔軟性がありました。
NPBしか知らなかった筆者にとっても、ベッツのような選手のストーリーは、MLBをより深く楽しむきっかけとなっています。
あなたの「気になるMLB選手」を教えてください!
今回はムーキー・ベッツについてご紹介しましたが、MLBにはまだまだ魅力的な選手がたくさんいます。もし「この選手のことをもっと知りたい」「この選手の軌跡も記事にしてほしい」という声があれば、ぜひコメント欄やSNSで教えてください!
MLBの面白さを一緒に深掘りしていきましょう!
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