最近、日本でもMLBの試合や選手の話題が取り上げられることが増え、筆者もNPB一筋だった20年から一歩踏み出し、メジャーリーグの魅力に引き込まれています。そんな中で注目したのが、ロサンゼルス・ドジャースの正捕手、ウィル・スミス(Will Smith)です。
打撃力に優れ、守備・リードも安定。華やかさこそ控えめながら、MLB屈指の“打てる捕手”へと成長した彼の軌跡を、ドラフト時の評価から振り返ります。
ドラフト時の評価:「堅実な捕手」――地味だけどプロ向き
ウィル・スミスは2016年のMLBドラフトでドジャースから1巡目(全体32位)で指名されました。
- 出身:ケンタッキー大学(NCAAディビジョン1)
- 投打:右投右打、当時のポジションは捕手専任
- 評価:バットコンタクトの良さと肩の強さ、スローイングの正確性に定評
- 特徴:パンチ力は平均的と見られていたが「野球頭脳の高さ」「堅実さ」でプロ向きと評価
同年ドラフトでは、同じ捕手で“超高校級”と言われたジョーイ・バートやザック・コリンズらの陰に隠れがちでしたが、スカウト陣の間では「すぐにマイナー上位で通用する即戦力型」として着実な評価を受けていました。
マイナーでの成長とMLB昇格(2016〜2019)
ドラフト後はルーキーリーグから順調に昇格。
- 2018年:AA・AAA合わせて20本塁打以上を記録し、一気にトッププロスペクト候補へ
- 2019年6月:ドジャースが抱えていた捕手陣の不安を背景に、満を持してMLB初昇格
- 初スタメンでホームランという華々しいデビューを飾り、打撃面での評価が一変
- ルーキーイヤー終了時点で打率.253・15HR・42打点(わずか54試合)と強烈な印象を残す
ドジャース正捕手としての地位確立(2020〜2022)
- 2020年(短縮シーズン):打率.289・OPS.980と捕手では驚異的な打撃成績。
- ポストシーズンでも活躍し、2020年ワールドシリーズ優勝メンバーに。
- 2021年~2022年:毎年20本塁打を安定して記録。
- 捕手としての守備面でも投手陣からの信頼が厚く、“攻守のバランス型キャッチャー”として定着。
MLBの捕手は「守備型」「攻撃型」に分かれがちですが、スミスはその中でも数少ない両方を高水準でこなす万能型として高く評価されていきました。
2024年:ドジャースと10年契約締結
- 2024年3月:ドジャースと10年・1億4,000万ドルの大型契約を結ぶ
- 捕手としてはMLB史上最長契約(単独契約として)
- チームからの信頼を裏付けるものであり、スミス自身も「一生ドジャースで」と語るなど強い覚悟を示しています
2025年現在:打撃好調&オールスター常連へ
2025年は開幕から好調で、6月末時点で打率.330・12HR・45打点という成績。3年連続のオールスター選出も確実視されており、今や“地味だけど実力派”ではなく、“真のスーパースター”としての地位を確立しつつあります。
年度別成績(G/PA/H/AVG/HR/RBI/SB)
年 | 試合 | 打席 | 安打 | 打率 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2019 | 54 | 196 | 43 | .253 | 15 | 42 | 0 |
2020* | 37 | 137 | 33 | .289 | 8 | 25 | 0 |
2021 | 130 | 501 | 107 | .258 | 25 | 76 | 3 |
2022 | 137 | 578 | 132 | .260 | 24 | 87 | 0 |
2023 | 126 | — | — | .261 | 19 | 76 | — |
2024 | 128 | — | — | .248 | 20 | 75 | — |
2025* | 69 | 227 | 75 | .330 | 12 | 45 | — |
*2020年はコロナ短縮シーズン
*2025年は6月末時点
※一部の打席数などは未発表
まとめ:堅実に、確実に、“スター”になった男
ドラフト時は「即戦力」「堅実」「守備が良い」といった控えめな評価だったウィル・スミス。しかしプロでの積み重ねは確実で、いまや攻守に優れたリーグ随一のキャッチャーに成長しました。
地味ながら信頼される選手こそ、強豪チームの屋台骨。これからもドジャースの黄金期を支え続ける存在として、さらなる進化が楽しみです。
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